こちらは鼈甲の白甲かんざしです。情景は秋の夕暮れと寺院が描がいております。三重塔の背景、茜色の空を雁が飛んでおり、情感のある作品です。かんざしの下側には青海波文様が描かれ、海の上に建つ寺という事がわかります。周りに生えている松からは、そこが禅宗の寺であることを表しております。塔にかけてある太鼓橋ですが、太鼓橋は異世界へ渡るための橋とされ、寺は浄土もしくは現実の寺ですが格の高い寺を表しております。手前には永遠を表す青海波、常しえの松並木、橋を渡れば寺院が、後ろには山が聳え、その横には螺鈿金蒔絵の茜色の雲、秋に飛来する雁、上空には鼈甲の斑らを雲に見立てあり、遠近法により絵には広がりと奥行きがございます。禅宗のお寺の境内に「松」が植えてある理由は、針葉樹の松は季節によって色を変えることなく美しい緑色を保ち続けます。仏教（禅）では私達は生まれたときから、決して変化することがない「尊い心」をいただいていると説いており、この「心」を美しい姿を保ち続ける「松の緑色の葉」で表現しているとされております。在銘　英山　龍など架空の世界を描くのを得意とした昭和に活躍された蒔絵師の方です。箱　祇園　生田屋発売時には30〜40万円程度したと思います。 #koudo #香堂 #こうどう koudo 香堂 こうどう japanese kimono jewelry かんざし　簪