西暦2000年を控えた時代、カメラを愛して止まないマニアの間では独ライカに代表されるクラカメブームが絶頂期を迎えて沸騰している中、巷では誰からともなく近々にニコンから凄いカメラが出るらしいとの半ば希望的観測を含めたまことしやかな噂話が流布されたのです。やがてその噂は真実となり奇しくもそれは往年のレンジファインダー（RF）の名機S3の復刻となって結実しました。ではなぜ今の世に前時代的なRFなのか？にニコンからの答えは先人が残した技術の再生と継承という大義名分でした。往時の純機械式カメラの再生・復刻には当初の予想通り極めて多くの艱難辛苦を伴いながらもニコンプライドの下に2000年、それはS3 Limitedとしてシルバーボディ(定価480.000円)が8.000台で限定発売されたのです。今でも思い出しますがこの時はカメラ愛好家のみならずインベストメント、つまり将来の値上がりを期待しての投資目的での予約・購入も重なり市場は激しく沸き立ちました。その後、ファンの熱い要望に応えるかのように2002年にはS3 Limited Black Editionが530.000円、2000台限定で登場したのです。この商品の時代考証は既に一眼レフのNikon Fが登場していた1964年の東京オリンピック当時、記念モデルとして50mm f1.4を付けた黒いS3（親しみを込めてS3 オリンピックと呼ばれた）を忠実に復刻再現したものです。そしてこの度の出品であるS3は新品・未使用で私が当時から大切に保管しながらも次の世代のオーナー様の元へバトンタッチすべく決心したものです。温度・湿度が適切に管理され空調が効いた部屋の中で他の歴史的名機たちとガラスケースの中で静かに眠っていました。購入以来一度もフィルムは通していないので野外での撮影もしておりません。但し、時折は巻き上げて全速域シャッターの作動確認をしていますし、名玉オリンピックニッコール50mm f1.4は明るい陽光の下で絞りを解放にして日光浴（笑）をさせています。添付画像の通り、未使用ゆえにキズ・スレなどはある筈もなくファインダーも塵ひとつありませんし、レンズも透明な井戸の底を覗くようにクリヤーです。完全オリジナルのままを保っていますので外箱・元箱・本革ケース・フード・キャップ類・取説・保証書が全て揃っています。この機会に是非ご検討下さい。